死にたくなかったの、本当は。


今日、一つの大きな事が終わった。
凄く長くて、でも今となってはあっという間だった。
そんな五年間の想い出。


死にたくて仕方なかった。
楽になりたかった。もう泣くのは嫌だった。
待つことに、もう疲れていた。
明ける夜に震えて。
誰かの声に脅えて。
いつも何かに恐れながら生きることが。
辛くて、哀しくて、寂しかった。
死にたかった。


光る包丁。手首に当てて。
引けばきっと、楽になれる。
そう思った。


でも。
でも、引けなかった。
死ねなかった。
気付いてしまったから。
本当は、生きていたい、って。
幸せになりたい、って。
だから。
大声で泣いた。
助けて、って。叫んだ。
顔ぐちゃぐちゃにしながら、泣き叫んだ。


死にたくなかったの、本当は。
誰かの一番になって、
幸せに笑っていたかったの。
でもどうすればいいのかわからなくて。
信じて愛してそして。
そしてその人に捨てられたら、と考えて。
始まる前から終わる事を考えて。
逃げようとした。何もかも捨てて、一人で。
その方が楽だったから。


誰も信じれなかった。
誰も愛せなかった。
大切な人をつくった時。
離れるその日を思い私は泣くだろうから。
真っ暗な世界に戻りそうで。
もう二度と出てこれないようで。
それならいっそ。
信じなければいい。愛さなければいい。
それなら離れても、忘れられるから。
傷つかないで済むから。
またあの一人ぼっちの冷たい世界には帰りたくなかった。


でもやっと。
思えたよ、何年も経って。
生きててよかった。
あの時諦めなくてよかった。


簡単な事だったの。
ただ私は誰かに愛されたかった。
誰かに必要とされたかった。
私も誰かを愛したかった。
互いが互いを当たり前の様に必要とできる、
そんな関係が欲しかった。
ただそれだけだった。


恋をしようと思う。
今度こそ、ちゃんと大事な人をつくろうと。
傷つくのが怖いからと、
かわりに誰かを傷つけるんじゃなくて。
ちゃんと自分を出そうって。嘘吐かないで。
誰かを愛するには。
自分に嘘吐いちゃいけないと思う。
しっかり前を向いて。
じゃなきゃ誰かを本気で好きになるなんて、出来ないよ。


まだやっぱり、寂しい。
当たり前だよね。急には変われない。
でも少しずつ、信じれたらいいな。
また昔の様に。
本気で幸せだって笑える日がきたら。
悩んでもがいて苦しんで。
それでも生きてるその意味を、
見付けられる気がするから。


暗闇に遮られたこの五年間が。
無駄でなかったと、私は信じていたい。


明日になったら恥ずかしい。


人はいさ 心も知らず 古里は
花ぞ昔の 香ににほひける



『人の心は変わりやすい
 貴方の心は昔のままだろうか
 ただ私にわかるのは
 昔馴染みのこの花だけ
 今も昔も変わらぬままに
 咲き香り続けています』



今日の日記は読み返すまい。