この裏切り者がぁっっっっ!!!!!
バイトに行ってみると、先日店長に昇格した社員のMが機嫌よく話しかけてきた。 「俺、君より早くこの店を去ることになったから☆(すこぶる笑顔で)」 「はっ?」 え、何ソレ。いきなり…えっ? 「ちょっと待ってよ;アンタこの前店長になったばっかでしょ?一体何があったって言うのよ!」 そうだ。Mはつい二週間前に店長になったばかりなのだ。二年半も店長のいなかった我が店に、やっとちゃんとした責任者ができたというのに、この男は何を言うのか。新人社員さんの前だと言うのに、動揺のあまり以前のタメ語口調で問いただす。 「いやぁ、まぁうちの系列店の店長が新店に行くことになったから、そこの店長になることになったんだよw」 「はぁっ?!アンタ何抜け駆けしてんのよ!店長の分際で店を裏切るだなんて何事?!意味わかんないんだけど!」 「上の決定だし☆(上機嫌丸出し)」 「この裏切り者っっ!!!」 やっとうちの店の地獄から抜け出せると大喜びで嬉しさを隠そうとしないMに、私はもう誰が見ていようが構わない、とお偉いさん方の目の前で殴る蹴るの暴行を働いた。二人で『なんとかあの店でやっていこう』と話してたのはなんだったんだ。社員がバイターより先に抜けるだんてどういう了見だ?!えぇっ?!チクショウ、羨ましすぎる!!! 「(ふと我に返る)…はて。じゃあうちの店はどうなんの?新店にTさん(二年もうちで働いた社員)とられちゃったし、ドラッグさん(鬼マネージャー。私の数少ないネタ仲間)もそろそろ辞めるし、Mもいなくなるし、もうダメじゃん、うち!」 ただでさえ人手不足だというのに。この上Mまで抜けられたら本当にうちの店は壊滅だ。 「あぁ、大丈夫。東店のマルさんが来てくれるから」 「へぇ…マルさんがねぇ……。って、マルさん?!!」 マルさん。それは三年前、まだ穢れを知らない私を地獄の門へと誘った当時の我が店の店長である。その使えなささはバイター間では有名で、私が入社して三ヵ月後に新店の東に行ってからは皆安心して仕事をできるようになったという、ある意味伝説的な人物だ。 「まままままままマジでマルさんが来るの?;うちに?;」 「うん、多分ね。俺のも含めてまだ確定ではないけど、おそらくそうなると思う」 「もう無理だ…。死ぬ……」 「頑張れ☆」 他人事の様に笑いながらそう言うMに『大体あたしの自給上げる前にやっておけよそんなもん!上がっちゃったからしばらくまたこの店にいなくちゃいけないじゃんかよっ!!』と、私の自給アップの為にマネージャーを説得してくれた事も忘れ、Mをボコボコに殴りつけるのであった。 Mのバーカバーカ。裏切り者ぉ……;;
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